ファームキャニングは、畑や食を通じて「自然ともう一度つながる」きっかけをお届けしたいと考えています。
その想いを支えてくださっているのが、自然の循環を大切にしながら、農業や水産業、林業などに携わる生産者のみなさんです。
このコラムでは、私たちが出会ってきた生産者さんの想いやものづくり、そして自然との向き合い方をご紹介していきます。
私たちが惹かれた人や、その土地ならではの風景、ものづくりへの想いをお届けしながら、食と自然のつながりを感じていただけたら嬉しいです。
「おいしい」の、その先を見つめるまぐろ屋
今回ご紹介するのは、神奈川県三浦市・三崎港を拠点とする三崎恵水産さん。
三崎といえば、日本有数のまぐろの町。その地で長年まぐろと向き合い続けてきた三崎恵水産さんは、単にまぐろを仕入れて販売する問屋ではありません。
掲げているのは、「50年先の食卓にも、旨いまぐろを。」という言葉。
その一文には、「今日売れればいい」ではなく、日本の食文化を未来へつないでいきたいという強い想いが込められています。
問屋だからこそ、できること
日本では年々まぐろ市場が縮小し、高品質なまぐろほど海外へ流れるようになっています。
国内では価格競争が進み、「安いもの」が選ばれやすい現状もあります。
このままでは、良質なまぐろを日本で当たり前に食べられる未来は失われてしまうかもしれません。
そんな危機感を抱きながら、三崎恵水産さんは問屋という立場だからこそできる挑戦を続けています。
漁師が適正な価格で魚を販売できること。
飲食店が安心して使い続けられること。
消費者が本当に価値あるまぐろに出会えること。
そして、品質を守りながら流通のエネルギーを抑え、環境への負荷も減らしていくこと。
「環境にいい、身体にいい、関わる人にいい。」
そんな循環があってこそ、本当においしいまぐろが未来へ受け継がれていくのだと教えてくれます。
現場で感じた、品質へのこだわり
以前、ファームキャニングのスタッフ数名で、三崎恵水産さんの工場を見学させていただく機会がありました。
普段口にしているまぐろが、どのように管理され、私たちのもとへ届くのか。その裏側を実際に見せていただきました。
中でも印象に残っているのが、巨大な冷凍庫です。
一歩足を踏み入れると、一瞬で身体の芯まで冷えるような世界。そこには、まぐろの鮮度と品質を守るための徹底した温度管理がありました。
私たちが当たり前のように「おいしい」と感じる一切れのまぐろも、こうした丁寧な管理と積み重ねがあってこそ成り立っているのだと実感しました。
工場では、品質管理の方法だけでなく、まぐろへの向き合い方や、未来の食文化への想いについてもお話を伺いました。
現場を見たからこそ、三崎恵水産さんが掲げる「50年先の食卓にも、旨いまぐろを。」という言葉は、決してキャッチコピーではなく、日々の仕事の一つひとつに込められた信念なのだと感じています。
「FISHSTAND」という新しい選択
三崎恵水産さんが手がけるブランド、FISHSTAND(フィッシュスタンド)
おいしい魚をもっと多くの人に届けることはもちろん、これまで十分に活用されてこなかった魚や部位にも新たな価値を見出し、魚を無駄なく使い切る工夫を重ねています。
「限りある海の恵みを大切にいただくこと。」
そんな考え方は、規格外の野菜や未利用食材を生かしながら、"もったいない"をおいしさへと変えてきたファームキャニングのものづくりとも、どこか重なります。
私たちもケータリングやイベントで、FISHSTANDの「まぐろのコンフィ」を使用しています。
低温でじっくり火を入れることで、まぐろは驚くほどしっとりやわらかな食感に。素材本来の旨みが引き立ち、そのままはもちろん、野菜やパンともよく合います。
素材の力を生かしたシンプルな味わいだからこそ、季節の食材を大切にするファームキャニングの料理にも自然と馴染みます。
おいしい魚を、もっと身近に。そして、未来へつないでいく。
FISHSTANDは、そんな新しい魚との付き合い方を提案してくれるブランドです。
ファームキャニングのグリーングリーンコマツナ(小松菜のジェノベーゼ)をパンに塗り、サラダ、FISHSTANDのマグロコンフィを乗せたオープンサンド
食べることは、未来を選ぶこと
ファームキャニングが生産者さんをご紹介する理由は、おいしい食材を届けたいからだけではありません。
その背景にある想いや、自然との向き合い方を知ることで、一つひとつの食材が、より豊かに感じられると思うからです。
三崎恵水産さんは、「まぐろ」という日本を代表する食文化を、50年先、100年先へとつないでいこうとしています。
「まぐろ」は世界共通語とも言われるほど、日本を象徴する食文化のひとつ。
その価値を守ることは、三崎という地域だけでなく、日本の食文化そのものを未来へつないでいくことでもあります。
私たちが選ぶ一切れのまぐろにも、その未来を支える力があります。
食材の向こう側にいる人や、その土地の風景に思いを馳せながら味わうこと。
それもまた、「自然ともう一度つながる」きっかけになるのではないでしょうか。
