Celebrate Life! ― 10年かけて、自分に返ってきた言葉

FARM CANNINGは、今年で10周年を迎えました。

設立当初は子どもたちもまだ小さく、起業をするぞ!というよりも

農家さんの助けになれるくらいのことをしてみよう、

いつ辞めても誰かに迷惑をかけないよう、身軽に始めよう。

そんな、小さな小さなスタートでした。

それから10年。

ずっと掲げてきた言葉があります。

それがファームキャニングの理念でもあり、合言葉でもある「Celebrate Life!」です。

畑を手伝っていた頃に見つけた可愛い人参

畑の中で降ってきたインスピレーション

これは、以前毎日のように畑に通っていた頃に生まれた言葉です。

今から12年ほど前、私は都内から葉山に移り住み、ご縁があって無農薬無化学肥料で栽培する農家さんを紹介してもらいました。

その農園が本当に心地の良い自然に囲まれた場所で、とれたての野菜のおいしいこと。

当時はまだ新規就農で人手が足りないということを聞いて、「ならば出荷のお手伝いをします」と

私は小さな次男をおんぶしながら通い始めました。

森のなかで野菜を育てる、ゆったりとした時間の流れる場所で

時にキジや野うさぎを見かけるような農園。

日々自然や植物と向き合っていると、

ある時期になるときちんと種が芽を出し、花を咲かせ、実を結び、やがて枯れていく。

そして土に種をこぼし、次の世代へと命のバトンを渡していく。

そのそばには、さまざまな虫や生き物がいて、それぞれが関わり合いながら、一つの生態系が生きている。

その光景を見ていたあるとき、私に突然、ある気づきが訪れます。

「自然の営みとは、こういうふうにできているのだ」と。

畑には無数の生き物がひしめきあっている

今、私たちがここにいる奇跡

小さな虫も、植物も、生き物も、「何かの役に立とう」と頑張っているわけではありません。

ただ、それぞれが自分の命を生きることが、結果としてほかの命を支えている。

そしてこれは、人間も同じなのではないかと思ったのです。

私たちもまた自然の一部であるならば、生まれたときからすでに、この大きな命の営みの中にいる。

生まれてきていること自体が、もう十分に尊く、祝福されるべき奇跡なのだ!

そんな考えが体全体に降りてきたような、

瞬間的に理解したと言えるような、そんな不思議な感覚に襲われたのです。

だから私は、ファームキャニングを立ち上げた後に

メッセージとして「Celebrate Life」という言葉を大切にすることにしました。

このフレーズには、二つの意味を込めています。

一つは、自然の中に生きる、すべての命を祝福しようということ。

もう一つは、私たち自身の人生を謳歌しようよ、ということ。

ケータリングも、瓶詰めも、コミュニティづくりも、一見するとそれぞれ違う事業に見えるかもしれません。

けれど、その根底に流れているものは、いつも同じです。

私たち自身も、出会った人たちも、それぞれの人生を謳歌できたらいい。

そして、足元にある自然や小さな命を大切にする「セレブレーション」に、一緒に参加してもらえたらうれしい。

コロナ禍で始めた畑クラブ

余裕がなくなると見えなくなっていた、大切なこと

この10年の間には、コロナ禍もありました。

活動が広がり、関わる人が増えるほど、物事は少しずつ複雑になっていきました。

そして、自分自身の未熟さや力不足を、痛いほど感じることもありました。

もっと頑張らなければ。

もっと成長しなければ。

もっとできる自分にならなければ。

思うように進められないことが歯がゆくて、自分の価値を見いだせなくなっていた時期も、ずいぶん長くありました。

うまくいかない現実を前に自分を責めたり、自信を失ったりしながら、「もっと何かができる自分」になろうともがいていました。

あれ?

等身大の自分のままで、循環の中にいるんじゃなかったっけ?

”Celebrate Life!”って言ってるけれど、

まさに私自身へのメッセージではないか…!!!!

何かができるから価値があるのではない。

何もしなくても、命そのものに価値がある。

畑で降ってきたその感覚が、10年の時空を超えて今の私にブーメランが戻ってきたような思いです。

いろんな経験を一緒に乗り越えてきてくれた大切な仲間達は宝物

これまでも、これからも。

気づけば私のまわりには、とても素敵なスタッフや仲間たちがいます。

FARM CANNINGの活動を応援し、さまざまな形で関わり、関係を育んでくれている人たちがいます。

私一人の力では到底ここまで来られなかったし、FARM CANNINGはいつの間にか、私一人のものではなくなっていました。

まさに一つの命が、それぞれの命と出会い、関わり合い、やがて一つの生態系をつくっていく。

振り返れば、FARM CANNINGそのものが、そんな営みになっていたのかもしれません。

お互いを尊重し合える世界は、きっと、足元にある小さな命を大切にすることから始まると信じています。

すべての命を祝福し、自分自身の人生も思いきり謳歌する。

これからもFARM CANNINGは、人と自然とのつながりを、一つひとつ丁寧に育んでいきたいと思います。