畑クラブ

仲間と共に自然の循環を学びあう「畑クラブ」

photo by ari.co.design

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「野菜を育ててみたいけど1人で畑を借りて始めるのはちょっとハードルが高くて…… 」ファームキャニングの活動をしているとそんな声をたくさん聞きます。シェア畑や家庭菜園に興味があるという方も増えていますよね。

そんな野菜好きの仲間たちと一緒に畑を作りたい。それもファームキャニングの拠点である逗子で。

そうひっそりと想い続けていた願いが今年の春ついに叶い、逗子の真ん中で『畑クラブ』という活動がはじまっています。

スタートからもうすぐ半年。第二回目のコラムは、ファームキャニングの畑への想い、そして仲間と共に楽しくおいしく学びあう『畑クラブ』についてたっぷりとご紹介します。


ファームキャニングのはじまりは畑でした

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第一回目のコラムでもご紹介しましたが、ファームキャニングの原点は畑。代表の西村が葉山の農園をお手伝いしたことがきっかけでもったいない野菜のびん詰めをスタートし、ほぼ同じタイミングで畑仕事のスクールもはじめました。

 

気軽にはじめた農園のお手伝いですが、自分たちの手で育てた野菜を「おいしいおいしい」といただいているうちに、ふだん購入している野菜のことも気になるように…… 野菜をお世話してくれた農家さんがいて、虫や微生物たちが土を肥やし、雨や太陽が降り注ぐ。そんな光景が浮かび、野菜を育てることも食べることも自然の一部なのだと気がつくのに時間はかかりませんでした。自然からの贈りものだと思うと、野菜たちがいっそう愛おしく、食事のたびにお腹がポッと温かくなるようななんとも幸せな気持ちになったものです。



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しかし残念なことに現在のフードシステムでは、今日食べた野菜がどこでどう育てられたのか知る機会がなかなかありません。私たちが畑に教えてもらったように、自然(いのち)の循環をもっとみんなと分かち合いたい。農作業の楽しさ、農園の美しさ、野菜のおいしさを共有したい。そんな想いが募り、お手伝いしていた農園のスタッフに栽培のコーチをお願いし畑のスクールをスタートしました。




葉山の農園から逗子の畑へ

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そんなふうに葉山ではじまったスクールは5年続き、卒業生は約80人。それはそれは楽しく実りある時間を過ごしました。しかしその農園が移転することになってしまい…… 場所も形態も少し変わる形でリスタートしたのが、逗子の畑クラブです。

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自然の循環を考える中で大切にしたいのが、自分たちが食べるものを暮らしの中で作ること。ですがファームキャニングの拠点でもある逗子市は農地がほぼゼロ。だからこそ、どうしてもこのまちで仲間と一緒に野菜を育てて食を囲む場所を作りたいと思いました。そんなとき突如素敵なご縁に恵まれ、逗子駅から徒歩約5分のところにあるキッチン付き貸しスペースをお借りできることに! 造園会社逗子ガーデンさんのお力も借りて、晴れて今年の5月に第1期がはじまりました。





仲間と一緒に野菜を作って食べて学ぶ半年間

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私たちが叶えたかったのは、畑と食卓をつなげる場。毎月1回のメンバー活動日には、畑仕事だけでなく畑で収穫した野菜や地元農家さんが届けてくれた野菜を使ったびん詰めと野菜ランチをみんなで楽しみます。そして、畑や野菜を通して食の背景について学びあいます。

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この学びあうというのも、畑クラブが大切にしていること。スクールではなくクラブと名付けたのもそれが理由です。先生と呼ばれる存在もいません。「教えてもらわずに野菜が育てられるの?」と不安に思う方もいるかもしれません。でも大丈夫!ファームキャニングのスタッフが葉山の農園で学んだことをシェアさせてもらいますし、土とお天気と野菜たちをよく観察していると、どうするとよいか不思議とわかるもの。(ということを私たちもこの半年の活動を通して学びました!)みんなで調べて考えて楽しく畑を作っていきます。



自然の力を生かした無農薬無化学肥料の畑作り

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畑クラブの流れを詳しくご紹介しますね。

午前10時(真夏はサマータイムで午前9時)に集合したら、畑全体の観察をしてからみんなで畑作業。目指しているのは、土、太陽、雨、虫など、そこにある自然の恵みを生かし、循環が生まれる畑作り。農薬や化学肥料は使わず、パーマカルチャーの考え方・手法も取り入れています。

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厄介もの扱いされがちな雑草だって大事な要素の一つ。雑草マルチといって野菜の株元に敷くことで、土を乾燥から守り新たな雑草が茂るのを防ぎます。景観を彩るお花も、病気や害虫を防いでくれたり野菜にとっては頼もしい隣人。作業内容は畑の状態や季節によって変わりますが、半年の期間を通して種まきや苗植えをして収穫するまでを体験できます。

(パーマカルチャーの手法の一つスパイラルガーデン )photo by ari.co.design

(パーマカルチャーの手法の一つスパイラルガーデン )photo by ari.co.design

(ゴボウはまっすぐ育つように竹筒に植えて)photo by ari.co.design

(ゴボウはまっすぐ育つように竹筒に植えて)photo by ari.co.design

この場所での畑作りは、ファームキャニングにとっても初めてのこと。どんな野菜ができるのか、ちゃんと育ってくれるのか、収穫するまでわかりません。

想像以上に元気に実った野菜もあれば、途中で虫にやられてしまう野菜もあったり。

思い通りにいかないことも含めてすべてが学びであり楽しみ、そんなおおらかな気持ちで向き合います。それに自分たちで食べる分を自分たちで作るのであれば、形が不揃いでも少しくらい虫に食べられていても気にならないもの。

個性豊かな野菜たちを見て、「むしろ形を揃える方が奇跡」「こんなに虫が飛んでいるのだから食べられる方が自然」メンバーからはそんな声も聞こえてきました。


月に1度の活動日以外にも、メンバーはいつでも自由に畑に入り作業や収穫ができます。出勤途中に寄り道して様子を見たり、雨が降らない時期は分担して水やりをしたり、その日の夕飯に使う野菜を調達したり。ほんの少し土に触れる時間を持つだけで心が豊かになるもの。駅近でアクセスが良いこともあり、気軽に立ち寄れる場所になっています。

 “畑の資材が木や竹、紐も麻紐やシュロなど、自然素材中心なので、畑にいるととても心地がよかったです。気分転換によく畑に行きました。

厄介ものにされがちな草も活かす畑づくりなので、草とたたかわなくて済み気持ちもラクでした。(第1期メンバー Nさん)“


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ファームキャニング直伝、旬を閉じ込めたびん詰め


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畑作業の後は、隣の建物にあるキッチンに移動。築80年の建物を改装していて、外観も室内もとっても素敵なんです。ギャラリーや個展などにも使われるというのも納得。大きな窓からはお庭と電車(線路も近いのです)が眺められ、畑作業の心地いい疲れを癒してくれます。

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規格外のもったいない野菜を使ったびん詰めは、私たちが発足当時から続けている活動の一つ。ファームキャニングと聞くと『びん詰め』を思い浮かべる方も多いかもしれませんね。そんなファームキャニングのびん詰めレシピを元に、ある時は農家さんから届いた旬の野菜を使って、またある時は隣の畑で穫れたハーブを使って、みんなでせっせとびん詰めを作ります。細かい作業もみんなでやるとあっという間。びん詰めってこんなに簡単なんだと思ってもらえます。

ファームキャニング畑クラブ30.jpg

野菜はそれぞれ形が違うもの。不揃いなだけで破棄してしまうのはもったいないし、どんな野菜もおいしく食べることで生産者さんの負担が減り、持続可能な農業が当たり前になってもらいたい。ファームキャニングのびん詰めにはそんな願いが込められています。実はご家庭にも、使いきれない野菜や家庭菜園で熟れ過ぎてしまった野菜など、もったいない野菜ってありますよね。そんなときはここで習ったレシピをアレンジして、ぜひびん詰めに!冷蔵庫に常備しておけば、まぜるだけ、つけるだけ、のせるだけで、あっという間においしい一品が完成。時間がない時の救世主にもなってくれます。

 

お待ちかねの野菜たっぷりランチ

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びん詰め作業をしているとキッチンから漂うおいしそうな香り。畑作業ですでにペコペコのメンバーのお腹を容赦なく刺激します。これをいちばんの楽しみに参加しているメンバーもいるとかいないとか…… お待ちかねのランチタイムです。

photo by Naoki Fukuda

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実はケータリングも請け負っているファームキャニング。野菜料理のプロでもあるスタッフが、旬の野菜をたっぷり使ったランチプレートをご用意します。スパイスやびん詰めを使って、一皿でいろいろな味を楽しんでもらえるように。野菜そのもののおいしさを味わってもらいたいから、あまり手を加え過ぎないことも大切にしています。メンバーさんから、「それだけでこんなにおいしくなるの!?」と言ってもらえたときはとっても嬉しいです。

(この日のランチは夏野菜のトマト煮込み)photo by ari.co.design

(この日のランチは夏野菜のトマト煮込み)photo by ari.co.design

気持ち良いお天気の日はウッドデッキに出て、コロナウイルスの感染防止のため黙食でいただきます。自然と食事に集中するので、野菜たちの繊細な風味までじんわり感じられるといういい点も。それにしても、体を動かした後のごはんてなんておいしいんでしょう。

“ランチも楽しみの一つ。野菜メインなのに満足感たっぷりで、影響されて家でもいろいろな野菜料理を試すように。野菜オンリーという日も増えました!(第1期メンバー Hさん)”


自然の循環って?みんなで学びあう食の背景

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お腹を満たした後は少しだけ学びの時間。食の背景について毎回テーマを設け、知っていること考えていること調べたことを語り合いながら学びをシェアします。第1期のそれぞれの月ごとのテーマは、「土」「多様性」「種」「循環」「月のサイクル」「未来につながる食卓」。どれも私たちの食に関係する大切な事柄です。

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畑をやってみたい!野菜が好き!という共通点はあるものの、メンバーは年齢も職業もさまざま。逗子市近辺にお住まいの方もいれば都内から通ってくる方もいます。ふだんあまり交流の機会のない方たちと同じテーマについて話すだけでも、とても貴重な時間。一緒に畑仕事をして一緒に食事をするという家族のような時間を過ごすからか、いつもリラックスした雰囲気で場が進みます。1人だとちょっと難しく考えてしまうようなテーマもみんなで輪になって話すと、身近なことにつながったり意外な解決策が見えてきたり。お話に耳を傾けながら、私たちも新しい発見や気づきをもらっています。

こんな感じでぎゅっと濃い時間を過ごしたら14時ごろ解散です。畑近くのソフトクリーム屋さんに寄り道して帰るメンバーがいたり、他のメンバーに教えてもらった逗子の気になるお店に行ってみたり、クラブの放課後も楽しんでいる様子。

ここで体験したエッセンスがみなさんの暮らしや地域で広がり、小さな幸せが次々と生まれることを願っています。

 

“畑に興味を持ったきっかけやライフスタイルも様々なみなさんと一緒に学びを共有し、意見を交わしながら作業を進めるのが毎回刺激的で、毎月楽しみでした!(第1期メンバー Sさん)”



“メンバー同士のそれぞれの生活や気持ちの変化をシェアする機会もあり、毎回色々な気づきがあります。土に触れておいしい野菜を食べて、毎月畑に行ったあとは、体も心もリセットされる感覚です! (第1期メンバー Fさん)”



第2期メンバー募集中

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半年にわたる第1期は、もうすぐ終了。現在ファームキャニングでは、11月スタートの畑クラブ第2期メンバーを募集しています。畑に集う仲間と一緒に、おいしく楽しく自然(いのち)の循環に触れてみませんか?

 

【日程】全6回 火曜日コース 土曜日コース 

【時間】各コースともに 10:00〜14:00 

【募集人数】各コース12名(予定)
お申し込み順となります。定員に達し次第募集終了となります。

畑クラブの詳細や申込については下記のボタンをクリックしてご確認ください

<お問い合わせ>
info@farmcanning.com