【季節を知る】7月:梅の土用干し〜太陽と微生物の力〜

みなさん、こんにちは。FARM CANNING のマイです。
今年は、梅雨を感じることなく、あっという間に夏が来ましたね。

ジリジリとした太陽がやってくるこの季節に「そろそろだなぁ」とソワソワしてくるのが、梅の土用干しです。

実は、わたしが梅干しづくりに初めて挑戦したのは去年のこと。
といっても、「なんとなくやってみたい」と思い、勢いだけで始めたのでほぼ手探り状態でした。

梅を洗って、塩と一緒に漬けて。
赤紫蘇は入れるタイミングを逃したので、なし。
それでも「わたし今、ちゃんと梅仕事してる!」と気分はかなり上がりました。


が、最後の仕上げ「干す」という工程で、

干していた梅をざるごとひっくり返すという、まさかの失態…!!

梅干しって、干すときにはとても柔らかくなっているので、ちょっとの衝撃で皮が破れたり、潰れたりしてしまうんですよね。

せっかくの梅たちが地面に転がっていく様子を、「ま、わたしらしいか。」と眺めていました。

でも、そういう失敗も含めて、手づくりって楽しいですよね!!
ね!

なんとか全ての梅たちを救い、3日ほど天日干しし、そうして無事初めての自家製梅干しを手に入れることができました!

去年初めて自分で作った梅干し。我ながら「売り物みたい!」と感激してしまいました。



ちなみに、「土用」って夏だけじゃなく、実は四季ごとにあるんです。

特にこの時期の土用(立秋前の約18日間)は、暑さのピークで体調も崩しやすい季節ですよね。
そんなときに、太陽の力を借りて完成させる梅干しは、まさに食べるおまもり

おにぎりに入れたり、お湯に溶かして「梅湯」にして飲んだりすると、なんだか体の中がスーッと整うような気がします。


それにしても、梅干しづくりって本当に不思議!

梅を塩で漬けているあいだに自然と出てくる梅酢。(毎年この梅酢が欲しくて梅干しを作るという人も!)
そして太陽に当てることで、ぐっと味がまろやかに変化していくんです。
これって、見えない微生物たちの働きがあってこそ。

乳酸菌や酵母などの“菌”たちが、梅の中でじっくりと時間をかけてバランスを整えてくれる。
さらに、天日干しによってその発酵が落ち着いて、保存にも適した状態になるんだそうです。
まさに、人と自然と菌がいっしょにつくる保存食なんですね。


今年は、そーっと、慎重に。
天気予報とにらめっこしながら、3日3晩のんびり干す予定です。


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【季節を知る】6月:夏越の祓と水無月

今年の6月、ひとつ素敵な季節の行事を知りました。

名前を聞いたこともなかった「夏越の祓(なごしのはらえ)」と、それにまつわる和菓子「水無月(みなづき)」のことです。

たまたま本で見かけたのがきっかけで、知ったのですが、
「6月の終わりに神社で茅の輪(ちのわ)をくぐると、半年分の穢れが祓える」んだそう。

京都を中心とした関西地方では、その日に、氷のかたちを模した和菓子を食べるのだとか。
「水無月」というその和菓子は、白いういろうの上に小豆がのった、三角の形をしたもの。
小豆には魔除けの意味があって、三角のかたちは氷を表しているんだそうです。

昔の人たちは、夏の暑さを乗り切るために、こうしてお菓子に願いを込めていたんですね。
なんだか、とても美しい風習だなと感じました。

それでは、わたしも水無月を作ってみようと思います。

◆水無月(15cm角の型1台分)

【小豆の下ごしらえ】 ※市販の「ゆで小豆(甘煮)」でもOK!

材料:

  • 小豆…100g

  • 砂糖…80〜100g(お好みで)

  • 塩…ひとつまみ

手順:

  1. 小豆をさっと洗い、たっぷりの水で一度ゆでこぼす(アク抜きのため)。

  2. 再度たっぷりの水で煮て、指でつぶれるくらいまで柔らかくする(弱火〜中火で40分〜1時間ほど)。

  3. ゆで汁を少し残して湯を捨て、砂糖を2〜3回に分けて加えながら煮詰める。

  4. 最後に塩を加えて味を整える。

  5. 冷ましておけば、保存も2〜3日OK(冷蔵庫)。


【材料】

  • 上新粉(または米粉)…100g

  • 砂糖…80g

  • 水…200ml

  • ゆで小豆(甘く煮たもの)…50〜70g

  • 塩…ひとつまみ

【作り方】

  1. 型にクッキングシートを敷いておく。

  2. ボウルに粉・砂糖・塩を入れて混ぜ、水を少しずつ加えてのばす。

  3. 生地の2/3を流して10分ほど蒸す。

  4. 表面が固まったら小豆を散らし、残りの生地を静かに注ぐ。

  5. さらに15分蒸し、冷めたら冷蔵庫へ。

  6. よく冷えたら三角に切って、できあがり!


気づけば、6月の終わりを待つのがちょっと楽しみに。
夏越の祓のことを知ったおかげで、今年の折り返しがなんだか特別に感じられそうです。

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【季節を知る】5月:初夏の発酵

みなさん、こんにちは。FARM CANNINGのマイです。
今月は旬のそら豆を使って豆板醤を仕込みます!(ちゃんと覚えていました!)

突然ですが、わたし、辛いものが苦手なんです。
豆板醤を自ら仕込む日が来るとは思いもしませんでしたが、なぜか去年初めて仕込んだんですよね。

そうしたら、自家製豆板醤で作る麻婆豆腐の美味しいこと!!!
麻婆豆腐が大好きなのに、お店では辛くて食べれないので、豆板醤はわたしにとって欠かせない調味料になりました。


ちなみに、いつもの如く、工程は至ってシンプル。
そら豆を蒸して、潰して、混ぜて、寝かせる。
だけ。

生のそら豆を使うので、水で戻す時間もないし、蒸す時間も短時間です。

ではさっそく。

◆豆板醤

【材料】
 • そら豆   :さやから出して200gぐらい
 • 米麹    :50g
 • 塩     :30g
 • 唐辛子粉  :20g
 • 味噌    :お好みで小さじ1
 • 蒸し/茹で汁:必要にお応じて

【道具】
 • 大きなボウル
 • 清潔な保存容器(ガラス瓶がおすすめ)

【作り方】
1. そら豆を蒸す/茹でる
 
• そら豆のお尻と反対側に包丁で切り込みを入れてから蒸すと、薄皮がつるん!とむけます。


2. 蒸し上がったそら豆の薄皮をむいて、潰す


3. 残りの材料を全て混ぜる
 
• パサパサしていたら蒸し/茹で汁を加えてペースト状にする

ここから大さじ3ほど水分を足しました


3. 瓶に入れて寝かせる
 
•半年後から食べられますが、1年ほど寝かせたものの方が美味しかったです。


発酵を促したり、コクが増すみたいで、今年は少しお味噌も一緒に入れてみました。

ぜひ、旬のそら豆を使って作ってみてくださいね!


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【季節を知る】4月:春の発酵

おっと、あぶないあぶない。
危うく3ヶ月坊主(3回坊主?)になってしまうところでした。

みなさんこんにちは、FARM CANNINGのマイです。

今年の1月からコラムに挑戦し始めて、4回目。
今月は春の発酵ということで『春キャベツのザワークラウト』を仕込んだので、ご紹介しようと思います。

ザワークラウトとは
キャベツを塩で漬けて乳酸発酵させたドイツの伝統的な保存食です。
ドイツ語で「酸っぱいキャベツ」という意味なんだそう。
特に肉料理の付け合わせの定番で、ザワークラウトの酸味が肉料理の脂と相性◎!

本場ドイツではスパイスやハーブも使うようですが、今回はシンプルに塩のみで仕込みます。


◆春キャベツのザワークラウト

【材料】
 • キャベツ:500g
 • 塩:15g(キャベツの重量の2-3%)

【道具】
 • 大きなボウル
 • 清潔な保存容器(ガラス瓶やホーロー、陶器など)

【作り方】
1. キャベツの下準備
 
• 外側の汚れた葉は取り除き、きれいな外葉を2〜3枚残しておく(最後に上からかぶせる用)。
 • 残りは千切りに。

2. 塩もみ
 
• ボウルにキャベツを入れ、塩をまんべんなくふる。
 • 水分が出てくるまで、手でよく揉み込む。
 • キャベツがしんなりして、底に水分がたまってきたらOK。

3. 容器に詰める
 
• キャベツを押しつけるようにして容器に詰める。空気が入らないようにぎゅうぎゅうに!
 • 出てきた水分も一緒に注ぎ入れ、キャベツが水分から出ないようにする。
 • 残しておいたキャベツの葉を上にかぶせる。

4.  発酵させる
 
• 室温(20〜25℃)で1週間ほど置く。
 • 味を見て、酸味が出ていれば発酵成功。お好みのタイミングで冷蔵庫に入れ、保存する。

【注意点】
 • 保存容器はアルコールまたは熱湯で消毒する。
 • 発酵中はキャベツが空気に触れないように、たまに押し込んで水分に浸かるようにする。
 • 1週間ほどで発酵が進んだら冷蔵庫で保存する。

工程を文字で読むと長いですが、簡単にまとめると

切って、塩ふって、揉んで、容器に入れるだけ!


暑い時期に仕込む場合は、塩をキャベツの3-5%に増やしたり、キャラウェイシードやローリエなどと一緒に漬けたり、お好みに合わせて調整してみてくださいね!

そうそう、最後まで食べ切らずに少し残しておき、次の仕込みの際に混ぜると発酵が促進されるそうです。

次回は「初夏の発酵」というテーマで豆板醤を仕込みたいと思います。
忘れませんように!(わたしが)


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【季節を知る】3月:茶飯釜

みなさん、こんにちは!FARM CANNING のマイです。
今月で3回目、3月のコラムは「まぼろしのお茶事、茶飯釜について」にしようと思います。

実は数年前から、ファームキャニングのスタッフ数名で細々と茶道のお稽古に通っています。
その名もファームキャニング茶道部。(そのままです)
とは言っても、1ヶ月に1回程度のお稽古でお茶をたてられるようになるはずもなく、今はリフレッシュの一環と化しています。

今月は「まぼろしのお茶事があるよ」と教えてもらって楽しみにしていた【茶飯釜】というお茶事に参加してきました。
茶飯釜(さはんがま)とは、懐石料理のご飯を茶席で炊くお茶事のこと。
普段お茶をたてるときにお湯を沸かす釜でお米を炊きます(!)

この日は九ツ井の料理長がおもてなしをしてくださいました。

炭に火がつくまで、わたしたちも竹筒を使ってふーふーと空気を送り、ようやく炊き上がったご飯の美味しいこと、美しいこと!

炭火で炊き上がったご飯

サクラダイのお刺身。懐石料理はお醤油を使わないので少しのワサビと穂紫蘇でいただきます。

懐石料理で1番のご馳走と言われる煮物椀。この日は若竹とわかめの真薯のお吸い物でした。
てっきり筑前煮のような煮物が入っているのかと思ったことは秘密です。

サクラマスの粕漬け

長芋とつみれのお味噌汁は、白味噌の優しい甘味

サクラダイにサクラマス、若竹にわかめ、ホタルイカにフキなど、季節の食材をふんだんに使った懐石料理と新酒をいただきました。
お食事の後は先ほどまでお米を炊いていた釜でお湯を沸かし、今回はお稽古のお茶事だったので略式で薄茶をいただいて、約3時間の会は終了です。

非日常的で特別な体験でしたが、一つ一つ丁寧に手をかけられた自然な味付けの懐石料理を前に、「丁寧なふつう」がいかに幸福かを感じた貴重な時間でした。

目まぐるしく過ぎていく毎日に、ほんの少しでも心を落ち着かせて一服する時間があること、本当にありがたいですね。

先生とお弟子さんとわたしたちスタッフ。それぞれお着物で参加しました。


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